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主婦連盟生協のプラスチックゴミ削減の経験と行動


プレゼンター:林邦文 主婦聯盟合作社(主婦連盟生協)理事

一、共同購入によりグリーン購入を実践

台湾主婦聯盟生活消費合作社(以下、主婦連盟生協)のプラスチックゴミ削減の過程を語る時、先ずは主婦連盟生協の前身である主婦連盟環境保護基金会(以下、主婦連盟基金会)について触れなければならない。主婦連盟基金会は、環境保護を目的に発足し、消費活動を以って環境改善を推し進めてきた。1990年前後、台湾では産業構造の変化により、環境汚染が深刻化し、土壌汚染により食物の安全が危機にさらされ、私たちの健康と命の安全が脅かされ始めた。1993年、主婦連盟基金会は環境保護運動を展開しながら、消費の過程がたどる「生産、廃棄、汚染」の循環に気付き、最終的に被害を受けるのは消費者であること、そしてその悪影響は次世代まで続くことを深く認識した。そこで、共同購入運動を通して、グリーン購入が可能になると考えたのである。「生活」の本質に立ち戻って、シンプルでグリーンな消費を行い、環境問題を改善し、地球の資源を守っていきたいと考えたのである。

2021年、主婦連盟生協は設立20周年を迎えた(主婦連盟基金会から始まった共同購入運動は、2001年に主婦連盟生協の登録を経て現在に至る)。私たちは、活動の原点である環境保護への高い意識と使命感を忘れず、生協という組織を以ってグリーン購入を共同購入の基本的な原則とし、「環境資源を大切にする、自国の農業を支える、共同購入を推進する、エコ生活を実践する」ことを規約の中に明文化している。

二、生活における環境保護活動

30年前、主婦連盟基金会を作った母親たちは、ゴミが長期に渡り環境に危害を及ぼすことに気付いた。そして、生活と環境を守り、地球にやさしい消費を推進する先遣隊として、多くの場所へ足を運んでは環境の大切さを説いて回った。その際、自らが手本を示すべく「三つの必需品」として「箸とスプーン」、「カップ」、「買物袋」を常に携え、不要なゴミを出さないように努めた。
 こうした生活態度や精神は、主婦連盟生協の設立当初から守られており、今でも組合員には商品用ビニール袋は一切提供せず、イベント開催時に使い捨て食器は決して使用しない。具体的な措置は次のとおりである。

●買物袋を自分で用意(共同購入の荷受先にて)

1993年から始まった共同購入では、次のような取組を実施してきた。
1.以前はエコバックを作成して組合員に貸出し、利用する場合50元(約200円)をデポジットとして預かり、返却時にデポジットを返金。
2.その後、組合員は必ず買物袋を持参するようになった。
3.また、段ボールや紙袋の再利用も実施している。

●使い捨ての食器や箸スプーンを使わない

1993年から始まった共同購入では、次のような取組を実施してきた。
1.イベント開催時には、必ずマイカップと食器や箸スプーンを持参。
2.外出時にも、マイカップとマイ食器を持参するよう呼びかける。

三、主婦連盟生協のプラスチックゴミの削減

私たちが組合員に提供する消費材は、安全、健康、環境を守り、3R(Reduceゴミの削減、Reuse再利用、Recycleリサイクル)を目標にしており、内部規約である「商品開発基準」に基づき、生産過程において以下の原則を順守することが求められている。

●エコ商品と公益性のある消費材を支援

人類や環境に有害な物質の使用や排出を極力削減し、水、土壌、森林など再生できる天然資源を持続的に利用する。生産、流通の過程でエネルギーの消費を抑え、再生できない天然資源の使用を出来る限り控える。また、公益的団体や社会的弱者の生産する商品を支援する。

●簡易包装、環境にやさしい包材を選択

食品の鮮度、安全性、品質保持を目標に、包材の減量、リサイクル、無害の包材の利用などに取組む。

(一)商品包材の減量

(二)青果の簡易包装、ネット袋のリサイクル

●青果の主な包装の種類は、ネット袋、結束、ラベル直接添付。
現在、青果には下記7種類の包装が使用されている。


●ネット袋の回収リサイクル利用
ネット袋は根菜類、皮の厚い青果、既に保護材が使われている青果に使用される。
組合員はネット袋がたまったら主婦連盟生協に返却、再利用する。

1.ここ3年のネット袋の回収率
平均回収率は59.4%、2020年の回収率は大幅に上がった。しかし回収率の上昇と共に、ネット袋の不良品率も上がっており、組合員向けへの呼びかけを継続して実施している。

表一 2018年~2020年 回収状況

2.ネット袋の回収により、プラスチックの使用量を削減
ネット袋の回収、再利用も少しずつ軌道にのり、年平均で約944kgのプラスチックの使用を削減している。

表二 2018年~2020年 ネット袋回収によるプラスチック使用量減少の状況

(三)物流過程における青果のロス削減

主婦連盟生協は北倉、中倉、南倉の三つの倉庫で、全生協が扱う青果の仕分け、配送を行い、一か月の青果の平均入庫量は約158,679kg。仕分け後、組合員に納品できない青果は三倉庫で合計4,800kg、ロス率は約3%となっている。

(2019年12月~2020年1月の統計)
青果の再処理方法は次の通りである。
●生協職員用の昼食食材や職員の割引購入に利用する。
●南倉庫は台南市政府社会局の食品ロス削減活動に参加しており、福祉団体へ提供。
●食用に適さないとされる少量の青果は、養鶏業者、堆肥業者に提供し、再利用する。
●どうしても再利用できない部分は廃棄処分となる。

(四)回収段ボールを紙緩衝材にリサイクル、プラスチック緩衝材を使わない

班配送、個別配送では、青果の傷みを防ぐため、緩衝材を入れ、完全な形で組合員の手元に届けている。そこでもプラスチック使用削減のため、回収段ボールを紙緩衝材にリサイクルして利用している。

四、主婦連盟生協内での循環型経済の実験計画

(一)始まり

プラスチック削減をさらに推進したい
 近年、各国政府は循環型経済の概念を提唱している。これは、プラスチックの原料を含む資源の製造から回収に至るまで、再利用可能な原料を使うことで、経済サイクルにおいて新しい原料の使用を削減しようとする考えである。(下図を参照)



私たちは次のように考える。
●主婦連盟生協は日頃からプラスチック削減を訴えてきた。それを循環型経済の概念と結び付け、次なる行動を取るには、どうしたら良いか?
●環境保護署が発表した2016年台湾資源回収率は58%にのぼるが、回収後の再利用率はわずか4.86%である。組合員には、より高い環境保護の意識があるのだろうか、内部回収計画に参加する意思があるのだろうか?
●プラスチックボトルのプラ使用量はビニール袋、レジ袋のそれを大きく上回り、牛乳や豆乳のボトル1本分は、8~13個の青果包装に使われるプラスチックの重量に匹敵する。空のボトルを回収して生協商品の容器として再生させることができれば、プラ削減効果はさらに高まる。
●SDGs(持続可能な発展)ゴール12「つくる責任、つかう責任」に呼応して、より積極的な廃棄物削減運動を組合員に呼びかけていきたい。

そこで私たちはプラ削減を目標に、生協内で循環型経済の実験として、「2+5プラスチック回収再利用実験計画」を始動した。

【計画構想】



【目標設定】
1. 2019年8月~2020年9月の期間中、北部13か所のデポーにおいて回収を実施した。
2.回収したプラスチックボトルを生協商品に再生させ、空ボトルの回収~商品化という再生循環を作り出した。

【消費と回収の推進】
1.回収する商品アイテム
2号プラスチック牛乳ボトル(HDPE高密度ポリエチレン)4種類、5号プラスチック豆乳ボトル(PPポリプロピレン)3種類。



2.教育と広報
回収方法を決め、組合員に空ボトルを洗浄、乾燥させてから回収ステーションに持ち込むよう働きかけた。

(二)計画の成果

●回収率は15~18%
●回収した総重量は約851kg(2号HDPEは439kg、5号PPは412kg)
●回収したボトルの総数は2号と5号の合計で約18,000本


今回の実験計画を通して、私たちは次のように確信した。
1.組合員は回収活動に賛同し、強力に支持した。
北部の13か所のデポーを回収拠点とし、多くの組合員が活動に意欲的に参加し、エリアをまたいで空ボトルを持ち込む組合員もいた。他地区の組合員からも、是非、回収計画を拡大して欲しいとの声が上がった。

2.回収したプラスチックは良質で、全てが再製品化に使用できた。
(1)回収後に粉砕したプラスチックを、財団法人プラスチック工業センターに委託し、2号プラHDPEと5号プラPPでプラスチックペレットを作ってもらった。
(2)そのプラスチックペレットを検査に出したところ、品質は良好、新品ペレットと大差無く、100%再利用することができ、また、新しいプラ原料を添加する必要も無く、何度も再利用できることが判明した。



3.生活必需品の循環型経済のスタート。
牛乳ボトルが衣類洗剤ボトルに
(1)    台湾では回収プラスチックを食品用容器の原料等として用いてはならない規定がある。そこで、主婦連盟生協が取扱う衣類洗剤2号プラスチックボトルに再生させ、「循環型経済による生活必需品」の初代商品が誕生した。



(2)実験計画の最終段階では、組合員のやる気を高めるために、「永続瓶装版-緑主張生態洗衣精(循環型経済仕様―エコ衣類洗剤)」を原価で組合員に提供した。
(3)そして社会からも認められ、2020年には経済部(日本の経済産業省に相当)より、「Buying Powerソーシャルイノベーション商品とサービスを奨励するメカニズム」特別賞を受賞した。

(三)課題と今後の方向性

1.回収状況は当初の計画には及ばず、経済規模に達していない。

私たちの年間プラスチック回収量は、数百キロにとどまり、トンのレベルで処理を手掛ける一般回収業者には遠く及ばず、目下のところ、提携できる回収業者は見つかっていない。また、回収量が少ないため、プラスチック加工に要するコストが高くなってしまう。

2.回収した空ボトルは処理が不完全なものが多く、人の手がかかり、加工品質にも影響が及ぶ。

残念なことに、すすぎが不完全で臭気のあるもの、フィルムなどが完全に剥がされておらず人の手を要するケースなどもあり、それはまたプラスチックペレットの品質にも影響を及ぼす。



3. 循環型経済はコストがかかる。

新品のプラスチックボトルは早く、安く作れるが、回収した原料から製造するとなると、コストはその数倍に跳ね上がる。小規模なリサイクル、時間と手間のかかる手作業などの要因が、今後、計画を推進していく上での障害になっている。

組合員からのアンケートによると、環境保護の理念には賛同するが、再生プラスチックペレット使用によるコスト上昇で、通常ボトルとの価格差が大き過ぎる。そのため再度購入したい意欲が起こらないとの意見が多く見られた。

今回の実験計画の結果、生協内では、組合員の協力により、消費、回収、ペレット化、再生のサイクルが実際に機能することが証明された。しかし、規模が小さ過ぎるため、経済的利益を生み出すには至らない。如何にして経済規模を創造するか、如何にして循環型経済を利用した商品に生産コストを反映させながら適正価格で販売するか、このテーマを検討することで、消費生活における循環経済の理念が実践されていくのだと考える。

五、結論

 私たち主婦連盟生協は環境にやさしい消費生活に取組んで来た。環境保護を訴え、同じ考えを持つ組合員が集まり、共同購入運動を展開し、消費の力で世界を改善しようと目指してきたのである。現在、8万以上の組合員家庭が、グリーン購入の生活必需品に核心的価値を見出し、商品を利用するとともに、組合員教育など実際的な活動を推進し、プラスチックゴミ削減に率先して取組んでいる。
 
 環境と消費スタイルは急速に変化し、プラスチックゴミ削減を含めた環境運動も、また、厳しい挑戦に直面している。私たちはそれらの対応方法を柔軟に検討し、組合員の利便性を高めつつ、配送包装のさらなる簡素化という課題にも立ち向かっている。長年にわたり実践して来た環境保護と共同購入運動の初心に立ち返ると、私たちの目標がはっきり見えてくる。循環型経済をどうやって持続させていくのか、商品の品質を確保した上でプラスチック削減をいかに推進していくのか、こうした模索こそが私たち主婦連盟生協が引続き取組んでいくべき目標なのである。なぜなら、私たちは「消費を通して、世界を改善できる」と信じ続けているのだから。

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